2026年4月11日
― 歯磨きを頑張るだけではダメ? ―
「毎日きちんと歯を磨いているのに虫歯ができる」
こうした疑問を持つ方は少なくありません。
結論から言うと、虫歯予防は歯磨きだけでは不十分で、「食生活」が大きく関係しています。
虫歯は「細菌」「糖質」「時間」の3つの条件が重なったときに進行するため、食べ方や食べる回数が重要になるのです。
今回は、虫歯になりにくい食生活について、患者さんにも分かりやすく解説します。
虫歯は「食べ方」でリスクが変わる

虫歯の原因となる細菌(主にミュータンス菌)は、砂糖などの糖質を分解して酸を作ります。
この酸によって歯の表面(エナメル質)が溶けることを脱灰と呼びます。
通常、口の中では唾液の働きによって歯が修復される再石灰化も起こっています。
しかし、糖分を頻繁に摂取すると口の中が酸性の時間が長くなり、再石灰化が追いつかなくなることで虫歯が進行します。
世界保健機関(WHO)は、虫歯予防の観点から遊離糖(free sugars)の摂取量を総エネルギーの10%未満、可能なら5%未満に抑えることを推奨しています。
(出典:World Health Organization. Guideline: Sugars intake for adults and children. 2015)
虫歯になりやすい食習慣
虫歯リスクを高める食べ方には、いくつかの共通点があります。
① ダラダラ食べる
間食を何度も取ると、口の中が酸性になる時間が長くなります。
例えば
・甘い飲み物を少しずつ飲む
・お菓子を長時間つまむ
・飴やグミをよく食べる
といった習慣は、歯が溶ける時間を長くしてしまいます。
② 甘い飲み物をよく飲む
意外と見落とされがちなのが飲み物の糖分です。
例えば一般的な量では
・コーラ(500ml):約50〜55gの糖
・スポーツドリンク(500ml):約30gの糖
・カフェラテ(加糖):約20g
といわれています。
液体は歯に広がりやすく、頻繁に飲むと虫歯リスクが上がります。
③ 寝る前の飲食
就寝中は唾液の分泌が大きく減少します。
唾液には
・酸を中和する
・歯の再石灰化を助ける
・細菌を洗い流す
といった働きがあります。
そのため、寝る前の飲食は虫歯リスクが高くなるといわれています。
(出典:Featherstone JDB. The Science and Practice of Caries Prevention. JADA, 2000)
虫歯になりやすい食べ物
虫歯は糖分だけでなく、歯に残りやすい食品でもリスクが高くなります。
特に注意したいものには
・キャラメル
・グミ
・ソフトキャンディ
・ドライフルーツ
などがあります。
これらは歯にくっつきやすく、糖分が長時間口の中に残るため、虫歯のリスクが高くなります。
虫歯になりにくい食べ物
一方で、比較的虫歯リスクが低い食品もあります。
例えば
・チーズ
・ナッツ
・無糖ヨーグルト
・キシリトール製品
などです。
特にキシリトールは、虫歯原因菌が酸を作れない甘味料として知られています。
研究では、キシリトールガムの使用により虫歯発生率が減少する可能性が報告されています。
(Mäkinen KK. J Dent Res, 2010)
虫歯になりにくい食べ方のポイント
虫歯を防ぐためには、次のポイントを意識することが重要です。
① 食事の時間を決める
「ダラダラ食べ」を避けるだけでも虫歯リスクは下がります。
目安
・食事:1日3回
・間食:1〜2回程度
に抑えることが推奨されています。
② 甘いものは時間を決めて食べる
甘いものを完全に禁止する必要はありません。
ポイントは
「食べるタイミングをまとめること」です。
例えば
・食後のデザートにする
・おやつの時間だけにする
といった工夫が有効です。
③ 飲み物は水・お茶を基本にする
日常的な飲み物は
・水
・お茶
・無糖コーヒー
などを基本にすると、虫歯リスクを下げられます。
④ キシリトールを活用する
キシリトールは虫歯原因菌が酸を作れない甘味料です。
研究では、キシリトールガムの使用により虫歯発生率が減少する可能性が報告されています。
(出典:Mäkinen KK. Xylitol and dental caries. J Dent Res. 2010)
歯磨き+食生活が虫歯予防の基本
虫歯予防では、歯磨きだけではなく
・食生活
・フッ化物(フッ素)
・定期検診
を組み合わせることが重要です。
とくにフッ化物は、エナメル質を強くし再石灰化を促進することが確認されています。
(出典:Marinho VCC et al. Fluoride toothpastes for preventing dental caries in children and adolescents. Cochrane Database Syst Rev, 2003)
歯ブラシだけでは落とせない汚れもある
虫歯予防では、歯磨きだけでなく歯と歯の間の清掃も重要です。
実は、歯ブラシだけでは歯と歯の間の汚れの約6割程度しか落とせないともいわれています。
そのため、フロスや歯間ブラシなどの補助清掃具を併用することで、虫歯や歯周病の予防効果が高まります。
当院のブログでは、
「フロスと歯間ブラシの違い」についても解説していますので、
どちらを使えばよいか迷っている方は、ぜひそちらも参考にしてみてください。
まとめ
虫歯予防で大切なのは
「歯磨き」と「食べ方」の両方です。
特に意識したいポイントは
・ダラダラ食べをしない
・甘い飲み物を減らす
・寝る前の飲食を控える
・食事の時間を決める
といった生活習慣です。
「歯を磨いているのに虫歯ができる」という方は、
歯磨きだけでなく、食生活も一度見直してみることが大切です。
歯科医院では、患者さんの生活習慣に合わせた虫歯予防のアドバイスも行っています。
気になることがあれば、定期検診の際にお気軽にご相談ください。