2025年12月20日
「神経を取った歯は弱くなるって本当ですか?」
「いずれ抜歯になると聞いて不安です…」
むし歯が深くなり、**歯の神経(歯髄)を取る『根管治療』**が必要になると、多くの方がこうした心配をされます。
結論として、
神経を取った歯は“弱くなりやすい”のは事実ですが、正しい治療とケアを行えば長く保つことは十分可能です。
ここでは、科学的根拠にもとづき、「神経を取った歯がどう変化するのか」「なぜトラブルが起こりやすいのか」をわかりやすく解説します。
■ 「痛みがなくなる=元通り」ではありません
歯の神経には
・痛みを感じる
・歯に栄養を届ける
といった大切な役割があります。
神経を取り除くと痛みはなくなる一方で、次のような変化が起こります。
① 歯がもろくなり、欠けやすくなる
歯髄がなくなると歯の内部が乾燥し、神経がある歯に比べて破折しやすいことが複数の研究で示されています。
※参考:Sedgley CM, Messer HH. J Endod. 1992.
② 再感染(根の先の炎症)が起こりやすい
根の内部は非常に細く複雑で、細菌を完全に取り除くのが難しいため、治療後に根尖性歯周炎が再発するケースがあります。
※参考:Friedman S. J Endod. 2002.
③ 痛みが出にくいため、静かに悪化しやすい
神経が無い歯は痛みに気づきにくいため、トラブルが進行しても自覚しにくいのが大きな問題です。
■ 神経を取った歯が「抜歯になる」最大の理由は“破折”
将来抜歯になる原因で最も多いのが、
● 歯根破折(根が縦に割れる)
一度縦に割れた歯は、現在の医学では保存がほぼ不可能で、多くが抜歯となります。
神経を取った歯は噛む力に耐えきれず割れやすく, 特に奥歯はリスクが高くなります。
■ でも安心してください。適切な治療で寿命は伸ばせます
「神経を取った歯だから弱いのは仕方ない」と思う必要はありません。
むしろ、その後の治療の質や被せ物の選び方で寿命は大きく変わります。
ここからは、科学的根拠にもとづく“歯を長く守るための4つのポイント”を紹介します。
■ 神経を取った歯を長く守るための4つの対策
① 精密根管治療(ラバーダム・マイクロスコープ併用)
高品質な根管治療を行うことで、成功率は約90%近くまで向上すると報告されています。
※参考:Ng YL. Int Endod J. 2007.
特に重要なのが
・ラバーダム防湿(唾液を遮断)
・マイクロスコープによる拡大視野
です。
② “土台+被せ物(クラウン)”でしっかり補強する
国際的にも、根管治療後はクラウンで補強することが推奨されています。
クラウンを被せることで
・破折しにくくなる
・再感染を防ぎやすい
という大きなメリットがあります。
③ セラミックは再発予防の面で有利
銀歯はセメントが溶けやすく、すき間から細菌が侵入するリスクがあります。
一方、セラミックは適合性が高く、二次むし歯が起きにくい素材として評価されています。
※参考:Krämer N. Oper Dent. 2005.
④ 定期検診で「レントゲンチェック」
神経のない歯は痛みが出にくいため、半年〜1年に1回はレントゲンで根の状態を確認することが大切です。
■ 神経を取った歯=必ず抜歯ではありません
✔ 適切な根管治療
✔ 割れないように補強した被せ物
✔ むし歯再発を防ぐ素材選び
✔ 定期的なフォロー
これらを行うことで、10年、20年としっかり残せる歯は珍しくありません。
「神経を取ったから終わり」ではなく、
“ここからどう守るか”が寿命を大きく左右します。
不安がある方は、いつでもご相談ください。